「調律終わりました。ちょっと弾いてみませんか。」と言っても、弾いてどんなものになったかと、食べてみてくれた人は少ない。美味しくなったとか、まずくなったとか、塩辛いとか、甘いとか、酸っぱいとか、焼き過ぎだとか、火の通りが悪いとか少しでも感じたことを伝えて欲しいのだ。せっかく料理したので熱いうちに味わって欲しいと思うのだが、私の前で弾いてみるのは恥ずかしのか、私を完全に信頼してくれているのか食べてはくれない。少し分からなくなる。
レストランに入り注文して出てきた料理を食べなかったり、残したりすると、やはりコックはどうして食べてくれないのかと聞きたくなるだろう。よほど美味しくなかったのか、といろんな原因を詮索するだろう。コックはコックなりに一生懸命料理を作りお客さんの喜ぶ顔を想像し、また食べに来て欲しいと思っているだろう。そして、お客さんが美味しく食べてくれることがコックである自分の存在の意味と生きる喜びだと確信するに違いない。
どうか食べて下さい。そして、感想を聞かせてください。